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『ALS』という治療法がなく、手の施しようが無い史上最悪の病気に罹患してから、もう5年以上が経過している。

本来なら、5年以内に80%以上の患者が自然寿命を全うして人生に幕を降ろすか、延命措置である人工呼吸器で生き延びている中、自分はまだ、言葉を話すことも自発的に呼吸することもできている。

そう、

『まだできている』





と言ってもできないことの方が多く、できることを挙げていった方が断然早いくらい。


健康だった時の自分は、自分で言うのもなんだけど、"完璧主義"の傾向があり、何かを一度やり始めたら完璧に仕上げないと納得できなかった。(第三者から見たら完璧じゃなかったかもしれないが……)

完璧じゃなければやる価値がない、つまり、『ALL or NOTHING 』。

だから、コップに半分くらい入った水は、自分に言わせれば『まだまだ半分もある』じゃなくて、もちろん、『もうたった半分しかない』。飲む価値がないから残りは捨てて、直ぐにでも新しく水を入れないと、といった端から見たら、もう面倒くさいなあ、って思われるようなどうしようもない性格だった。


でも、病気になってだいぶ変わった。

今現在も少しずつ変わってきている。

病気が進行してあまりにも諦めることが多すぎて、

欲求や煩悩がドンドン無くなってきている。

腹が出てようが、髪が薄くなろうが、 病気で筋肉が萎縮してガリガリになっても、

自分の容姿や世間の目なんて、どうでもよくなってきている。

服装もどうでもいい。羽織ることができればそれでいい。

色んなことが、自分にはどうでもよくなってきている。

「もうこれしか動かなくなってきている」、「もうこんなに出来なくなっている」、と嘆くよりかは、

今の自分は、


『まだできている』


ということに大きな大きな幸せを感じる。

普通の人間なら出来て当たり前のこと1つ1つに、ALSの自分は馬鹿みたいに真剣に向き合わなくてはならず、それがまだできることに、この上ない喜びや安堵を抱く。

どんだけ小さい人間なんだろうって情けなくなる時も多々ある。

健康で不自由なく動ける人を見ると、ものすごく羨ましいし、自分の何億倍も幸せなんだろう、って嫉妬さえも覚えてしまう。


『まだできている』


そのうち、

その言葉が、

『まだ生きている』

に置き換えられる日がくるんだろう……

そうなったら無欲で悟りの境地にでも突入するんだろうか?

でもそれはないか。

なぜならば、

可愛いムスメの成長を見守るために『生きていたい』、っていう“貪欲”があるから……


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